うさぎとかめ

 

春と言えば入社式ですね。

 

コロナの影響でオンラインで入社式を行うところもあるようですが、

私の会社は新入社員を会場に集めてリアルに行う予定になっています。

 

よく新入社員の気持ちは、緊張と不安のなかにも、新しいスタートに希望と

ワクワク感があると言われることがありますね。

 

私も何十年か前に入社式を経験しました。

正直言って、私は希望とワクワク感などありませんでした。

 

気ままで自由な学生生活から、厳しく規則正しい社会人生活に変わるわけですから

緊張と不安とともに憂鬱と束縛感がありました。

 

私は環境の変化に弱い人間でもあり、できることなら、ずっと学生のままで

いたかったのです。

 

私は今の会社に入りたくて入ったわけではありませんでした。

私を採用してくれそうな会社の中から仕事の楽そうな会社を選びました。

 

そして入社試験を受けて採用されたわけですが、特別嬉しかったわけでは

ありませんでした。

 

私が入れるような会社だからそんなにいい会社ではないと思いました。

私が面接のために、うまく作り上げた人物象を見抜けなかったからです。

 

私は入社式に集まった周りの同期の新入社員を見ると、緊張のせいか、みんな

冷たそうな人ばかりでした。

 

私が声をかければ嫌な顔をされそうでした。

これからこんな冷酷そうな人たちと一緒に働くのかと思うとゾットしました。

 

みんな真面目に社長のお話を聞いていました。

 

社長の言葉は「社会人となった皆さんはがむしゃらに働いてください、そして

必ず、困難にぶち当たります、それを乗り越えて成長してください・・・・・」。

 

私以外の人は社長の言葉を聞いて感動して胸が熱くなったかもしれませんが

それを聞いて私は、早くこの場から逃げ出したいと思いました。

 

その後、数日の新入社員研修があり、それが終わると現場で先輩社員に教育

されながら仕事を覚えていきました。

 

私は環境の変化は大嫌いなんですが、意外とそれに慣れるのは早い方です。

順調に仕事には慣れてきました。

 

その頃、同僚から聞いた話ですが、他の支店に配属された同じ新入社員で、

研修後の初出勤で、社員通用口が見つからなかったので辞めたという話を聞きました。

 

その建物の構造は複雑で、社員通用口を見つけるのが難しかったようです。

でも、人に聞くか少し時間をかければ見つからないはずはありません。

 

きっと不安な気持ちでの初出勤だったのでしょう。

私と同じような気持ちの新入社員がいたのだと思うとホットしました。

 

それから5年くらいは仕事を覚えるために、少し頑張りました。

毎日2、3時間の残業は当たり前でした。

 

そしてある程度仕事を覚えてからは考え方を変えました。

 

こんな仕事ばかりの人生はつまらない、無理をしなく自分らしく生きようと

思うようになりました。

 

仕事が休みの日には近くの畑を借りて野菜作りをしたり、今では、仕事の

合間にブログを書くこともできます。

 

そんな私をあざ笑うように、同期入社の社員は出世し、私の後輩がどんどん

私の上司になりました。

 

もしもしかめよかめさんよ、せかいのうちでおまえほど、あゆみののろい

ものはない、どうしてそんなにのろいのか と歌われているような気がしました。

 

しかしながら、現在、私と同期に入社した社員は半数以上退職しています。

残った社員もいつも忙しそうで、マイペースの私を羨ましがっています。

 

私は、出世を諦めるのと、年下の上司を気にしなければ、気持ちはとても楽です。

 

退職した一部の人は思い通りの転職に成功していますが、大部分は給料が下がり

会社を辞めなかった方が良かったという声を聞きます。

 

私はうさぎとかめの話のように、ゆっくり歩み、最後のゴールまでたどり

着ければいいと思います。

 

毎年社内報に、先輩社員から新入社員へのメッセージというのがあります。

 

「入社おめでとうございます。失敗を恐れず、自分の可能性を信じて何事

にもチャレンジする気持ちが大切です・・・・・・・・」などです。

 

もし私に先輩社員としてのメッセージの依頼があれば「入社おめでとうございます。

社員を長く続けるためには、決して無理はしないで、自分のこころと身体を大切に

 

かめのようにゆっくり歩むことが大切です・・・・・・・・」と伝えるでしょう。

こんなメッセージは絶対没になるでしょうね。

 

でも今のような時代、私のようなメッセージに共感してくれる人もいるのでは

ないでしょうか?

 

私が新入社員研修で出会った同期の彼との悲しいお話が下にあります。

時間があれば読んでみて下さい。

ssddggss.hatenablog.com