ハートのエースはどこにある?

 

私の会社の若い社員に、トランプを使ったマジックが上手な男性がいます。

彼は人に対して温かい心遣いができるやさしい人間です。

 

私はお昼の休憩時間に、休憩室で、彼のマジックをよく見せてもらいました。

彼は見ている私に、一番好きなカードは何かと聞くことがありました。

 

私はいつも一番好きなカードはハートのエースだと答えていました。

 

彼がなぜかと聞くので、私の人生で悩んで苦しんだ時の最後の切り札は愛であり、

愛の最も強い札はハートのエースだと思っているからと言いました。

 

ある日彼は、私の誕生日を覚えていたようで、誕生日のお祝いにトランプ占いを

してあげようと言って、裏返しになったトランプの束を私の前に差し出しました。

 

そして彼に言われるまま、私は1枚のカードを抜き出し、彼に見られないように

そのカードを見てそれを目で覚えました。

 

そしてまた、そのカードが何か彼に見られないように、元のカードの

束の中に戻しました。

 

私が選んだカードは、偶然にも、私の大好きなハートのエースでした。

 

彼はカードの束を裏返したまま切って混ぜました。

 

そして彼は、どれかカードを1枚引いてほしいと言って、扇子を広げるようにして

トランプを私の目の前に差し出しました。

 

私は悩んだあげく、一番右端にある1枚を抜き取り、そのカードを見ると

びっくりしました、先ほど引いたハートのエースでした。

 

そして彼は私に、あなたが選んだハートのエースは、きっと将来、あなたを

しあわせの世界へと導いてくれるでしょうと占ってくれました。

 

彼は誕生日のお祝いだと言って、私にそのハートのエースのトランプをくれました。

私は占いはあまり信じませんが、その時はとても嬉しく感じました。

 

話しは変わりますが、もうすぐクリスマスですね。

 

昨年と同様に、スーパーに勤めている知り合いの女性から、クリスマス予約の

お願いの電話がありました。

 

早いもので、あれからもう1年が経ちました。

彼女はシングルマザーで6歳になる由香ちゃんという娘とふたりで暮らしています。

 

私は去年と同じように、コメダ珈琲店で会って、クリスマスのパンフレットを

見せてもらいました。

 

それを見ながら私は、最近のふたりの暮らしぶりがどうなのか聞いてみました。

 

由香ちゃんは病気で亡くなったパパが大好きで、一緒に公園に行って遊んで

もらったときが一番楽しかったそうです。

 

夜空を眺めながら由香ちゃんに、大好きだったパパはどの星なのと聞かれると

悲しくて彼女は涙が止まりませんでした。

 

彼女は由香ちゃんと公園のそばを通るとき、父親と楽しそうに遊んでいる

親子を見ると、寂しい思いをしている由香ちゃんが不憫で仕方がないようでした。

 

彼女は生活のため、働く時間が長くて、由香ちゃんと一緒に過ごす時間が

少なくて申し訳ないと思っているようです。

 

また彼女はお金がないので、由香ちゃんに美味しいものを食べさせて

あげられないのがとても辛いようです。

 

でも彼女は由香ちゃんに、貧しくても人を愛して尽くせば、きっとしあわせに

巡り会えるのよといつも言っているようでした。

 

私は彼女の話しを聞いてかわいそうになり、今年も去年と同じように、

由香ちゃんの大好きなイチゴのケーキとローストチキンを注文しました。

 

そして昨年と同様に、クリスマスの申し込み書の送り主の欄に天国のパパ、

受取人に可愛い由香ちゃんと書きました。

 

そして備考の欄に、「パパは天国に行ったけど、辛いことがあったら

パパを思い出しなさい、パパはいつまでも由香ちゃんのこころの中で

 

生きているんだよ」と書きました。

 

私はふたりへのクリスマスプレゼントだと言って、その代金と申し込み書と

一緒に、彼からもらったしあわせを呼ぶハートのエースを彼女に渡しました。

 

私は彼女に、ハートのエースに込めた私の想いを伝えると、共感して涙を流して

喜んでくれました。

 

その後、彼が占ってくれたトランプ占いのカードは、必ず私がしあわせに

なれるようにと、すべてがハートのエースだったと種明かししてくれました。

 

私は彼のやさしさに、彼女と同じように感激で胸が熱くなりました。

ハートのエースを引くことができなければ、私の人生は辛いと思いました。

 

 

時間があったら昨年のクリスマスの彼女と由香ちゃんのことが書いてあるので

下の「愛のクリスマス予約」を読んでもらえるとうれしいです。

 

ssddggss.hatenablog.com

 

12月になると仕事が忙しくなるのでしばらくブログをお休みさせていただきます。

よろしくお願いします。(涙涙涙)