しあわせの涙

 

私たち夫婦のお金の管理は、男性である私がいつもしています。

 

多くの人から聞くと、ほとんどが奥さんがお金の管理をしていて、その中から

ご主人はお小遣いをもらっているようです。

 

私の家も結婚当初は妻がお金の管理をしていましたが、お金の使い方が下手で、

使いすぎて次の給料日までになくなってしまうことがよくありました。

 

そのため今では、私がもらった給料は食費と光熱費などだけ妻に渡して、

残りは私が管理しています。

 

私の妻は以前、軽い脳梗塞にかかり、それ以来仕事はしていないのですが、今では

私の毎月の少ない給料から渡すお金の中で、きちんとやりくりするようになりました。

 

でも、最近物価が上がり始めましたが、私の給料は全く増えていません。

 

給料の中から妻に毎月渡す金額を増やしてあげたいのですが、将来のことを

考えると余裕はないし、私のお小遣いを減らすのも辛いです。

 

日々の家の食事も、おかずがだんだん質素になってきたような気がします。

 

話しは変わりますが、以前、私がテレビを見ていた時、何かの番組の中で、

もしあなたが生まれ変わったら、いまの奥様やご主人ともう一度結婚しますかと

 

街行く人々にインタビューしていました。

 

答えた人の声は様々で、男性では、絶対今の妻とは結婚しないという人と、

生まれ変わっても今の妻と結婚すると言うのが半々くらいだったと思います。

 

私はそれを見て、私だったらどうするだろうかと考えてみました。

 

新婚当時はやさしかった妻ですが、だんだん妻の座に胡坐をかき、強くなって、

私を粗大ごみのように、丁寧に扱わなくなってきたような気がします。

 

私はそれを考えると、世界中にはたくさんの女性がいるわけだから、

別に今の妻ではなくても、私と気が合う女性はたくさんいると思いました。

 

私は、同じ人間ならどんな女性とでも相手のことを理解してこころが通じれば

うまくいくはずだと思いました。

 

なので私は生まれ変わったら別の人と結婚してもいいと思いました。

 

話しは戻ります。

 

最近私が妻と買い物に行った時、妻は少し足を引きずり、時々立ち止まり、

歩きにくそうにしていました。

 

私はそのときあまり気にしていませんでしたが、ある時妻が本屋さんで

健康本のコーナーで立ち読みをしていました。

 

私は横からのぞき込みました。すると膝の痛みについての本でした。

私はその時初めて妻の膝が悪くなっていて歩きにくいのだと知りました。

 

私は妻に膝は大丈夫かと聞いたところ、妻は大丈夫だから気にしないでと

言いました。

 

いつも我慢強く弱音を吐かない妻が、膝の痛みの本を読んでいたのは

相当辛かったのだと私は思いました。

 

私が家に帰って話を聞いたところ、お金がなくて、膝の薬を買えないよう

でした。

 

私は思いました、もし私が妻の膝のことに気付かなければ、妻はどんなに

痛みを我慢し続けたのだろうかと。

 

私の不甲斐なさで、こんなに妻に苦労をかけたのかと思うととても情けない

気持ちになりました。

 

でも、先日、少ないお金の中から、私の誕生日にはステキなハンカチを

プレゼントしてくれました。

 

そのハンカチを見て、私は妻が、私の悲しい涙をこれで拭いて頂戴と言って

いるように思いました。

 

私はすぐにお小遣いの中から膝の痛みを和らげるお薬を買って妻に飲ませました。

すると1週間も経たないうちに効き始め、今ではとても楽になったようです。

 

その時までは、私は生まれ変わったら別の女性と結婚してもいいと思っていましたが、

妻はどう思っているかはわかりませんが、私は生まれ変わっても、今の妻と

 

結婚して、今度こそは妻を楽にしてあげたいと思うようになりました。

 

そしてこのハンカチで、妻のしあわせの涙を拭いてあげたいと思います。

 

こころが繋がっていれば、人と人との縁は死んでも簡単に切れるものでは

ありませんね。