しあわせを運ぶ天使

 

私は毎日朝起きると、まずトイレに行ってそれから鏡の前で歯磨きと洗顔をします。

 

鏡に写る寝起きの顔は、覇気がなくとてもだらしなく見えます。

本当の私のこころを鏡が写しだしているのかもしれませんね。

 

私は鏡に向かってあっかんべ~をします。

すると鏡の中の私も同じようにあっかんべ~をします。

 

私は、鏡の中の私にも嫌われたようです。

 

恥ずかしいことに、私のこころは中学生から成長していないのです。

鏡を見ながら私は、好奇心旺盛な中学生から常識ある大人のこころに化けます。

 

それから朝食をとり、10分くらい新聞に目を通します。

そして着替えをして再度鏡の前に行き、電気カミソリで髭を剃り、髪を整えます。

 

鏡に向かって毎日、笑顔の練習をして優しさとさわやかさを作り出します。

そして上品で清潔に見えるように服装をチェックします。

 

そのときの気持ちは、今日も自分のだらしなさをごまかしちゃえです。

 

家でゴロゴロしている時の姿は、家族以外には誰にも見られたくありません。

そうやって私は、本来の姿より印象を良く見せようとします。

 

ところで私がいつも鏡に向かって笑顔を作る練習をするのには訳があります。

 

私の会社にはいつも真面目な顔をして、真剣に仕事に取り組んでいる先輩がいました。

いつもピリピリして気軽に声をかける雰囲気ではありません。

 

冗談でもいえば無視されるかそれとも、怒りで私をバカにするかもしれません。

でも、彼は自分のこころに正直であり、ごまかしがありませんでした。

 

私のように自分のこころを隠し、摩擦なく生きていくのではなく、彼のように

自分のこころに正直で、嫌われても自分の意志を貫く人は羨ましく思いました。

 

でも私は、彼のように仕事ができないので、彼を見習うことはできませんでした。

 

話しは変わります。

 

おなじ会社にとても笑顔が素敵な女性がいました。

 

特別美人という訳ではありませんが、彼女とお話をするとき、その笑顔が

いつも私のこころを明るくしてくれます。

 

実は、彼女は結婚生活に失敗し、離婚して寂しくひとりで暮らしていました。

 

彼女はどうにもコントロールできないこころの不調で苦しみ、夫の理解が

得られませんでした。

 

彼女は離婚の原因は自分のこころに問題があったと反省していたのです。

 

私はそんな彼女の気持ちを知らないで、不用意なことを言ってしまいました。

 

私は彼女に、あなたはいつも笑顔が絶えないけれど、しあわせな気持ちで

生きているのが羨ましいと言いました。

 

すると彼女は私に、私を見てしあわせを感じてくれますかと聞いてきました。

 

私は彼女に、あなたの笑顔を見ると、その優しさとさわやかさで、いやなことを

忘れてしあわせな気持ちになると答えました。

 

それを聞いて、彼女は、とてもうれしいと言いました。

 

実は彼女、離婚して落ち込んでいた時、自分の顔を鏡で見ると、まるで不幸を呼ぶ

悪魔のように見えたそうです。

 

彼女がいることで周りの人たちは暗い雰囲気になっていたようでした。

 

彼女はこれではいけない、しあわせを運ぶ天使のような顔にならなければと

思ったようです。

 

それから彼女は鏡の前で笑顔を作る練習をしました。

 

毎日鏡を見て、口角をあげ、かわいらしさを出し、楽しかったことを思い出し

目じりを下げる練習をしました。

 

すると彼女は、だんだん気持ちが楽になり、明るくなってきました。

 

彼女の笑顔は、前向きな印象を与えるようになり、周りの人にも笑顔が出るし、

親しい友達もできるようになりました。

 

そして彼女の笑顔は人にしあわせを感じさせるようになったようです。

それを聞いて、それなら私にもできると思いました。

 

それから私はいつも笑顔であいさつをし、明るく何の心配事もないように

振る舞いました。

 

すると多くの人が警戒することもなく、気軽に、私に話しかけてくれるように

なりました。

 

私の人生、笑顔のおかげで随分多くの人に助けられたような気がします。

 

笑顔っていいですね、なので私は毎日笑顔の練習をしています。