しあわせを呼ぶ嘘つき

 

私の会社にはとても嘘つきな女性がいます。

 

嘘つきと言っても、人を不幸にするような嘘つきではありません。

 

私が彼女と会った最初の年のバレンタインデーには、かわいいリボンの

ついたチョコをくれました。

 

私は家に帰って、包装紙からチョコを取り出すと、中にはメッセージカードが

入っていました。

 

「いつもお仕事おつかれさまです。これは私のこころからのプレゼントです。

これを食べて元気になってくださいね。誠実なあなたへ💛」

 

手書きで丁寧に書かれていてこころがこもっていました。

 

これは私への愛のメッセージではなく義理チョコメッセージなのですが、

本命ではなく嘘とわかっていても嬉しいものです。

 

それより前ですが、私が出張に行ったときのことです。

 

いつも頑張って働いている同僚にと名物のおまんじゅうを買って帰りました。

休憩時間にみんなで食べようと分けました。

 

ところが私の勘違いで一人分足りなくて、気まずい雰囲気になりました。

 

そのとき嘘つきの彼女が、「どうしておまんじゅうなんか買ってきたの、

私はおまんじゅうが大嫌いなのを知らないの」と怒った振りをしてその場を

 

立ち去りました。

 

私は彼女がおまんじゅうが大好きなのを知っていました。

嘘をついた彼女に私は救われました。

 

そのほか彼女は、待ち合わせの時間に10分遅れた友達に、待ったかと聞かれても

私も今来たばかりと嘘を言います。

 

子供の入試の心配をする同僚に、知りもしないのに、あなたの子供さんなら

合格すること絶対間違いなしと嘘を平気で言います。

 

彼女はいつも嘘を言っています。

 

話しは戻りますが、バレンタインのプレゼントをもらった私は、次の日彼女に

お礼を言いました。

 

話しのついでに私は彼女に聞きました。

 

あなたはいつも見え透いた嘘ばかり言っているけど、そんなに嘘ばかりついて

あなたはしあわせですかと。

 

すると彼女は言いました。

人ってみんなしあわせになりたいと思っているはずです。

 

お金持ちになりたい、出世したい、恋愛をしたい、これらはみんなしあわせに

なるための通り道だと思います。

 

私はしあわせへの道が、回り道にならないように時には嘘をつきます。

私はみんなにしあわせになってもらえればそれでいいのですと言いました。

 

彼女は噓つきだけどとてもやさしい人だなと思いました。

 

私は妻に彼女を見習ってほしいと思いました。

私は彼女に私の妻のことを話しました。

 

私の妻は、私と一緒に外出した時は、私のことを立ててくれて、とても良妻の

ように振舞います。

 

人はみんな、いい奥さんを持ってしあわせですねと言います。

ところが家に帰ったとたん、いつも私をバカにして邪魔もの扱いします。

 

私はもう慣れましたが、人がその豹変ぶりを見るときっと驚くでしょう。

猫を被るとはよく言ったものですが、家では妻はいつも鬼の面を被っています。

 

私の妻は世間に対して嘘の姿を見せています。

あなたと私の妻とは同じ嘘つきでも全然違いますねと言いました。

 

私は彼女に、バレンタインのメッセージで私はとてもしあわせな気持ちになったので

私はお返しに、ホワイトデーにはすてきなものを用意するつもりだと言いました。

 

すると彼女は私に、あなたからプレゼントしてもらいたいものがあると言いました。

私は彼女に何が欲しいのかと聞きました。

 

彼女は、ホワイトデーには、あなたにしあわせになってほしいと言いました。

あなたがしあわせになってくれるのが私への最高のプレゼントですと言いました。

 

私に用意すると言われたプレゼントはあなたの奥様に感謝してあげてください、

そうすればあなたも奥様もきっとしあわせになれるはずですと言いました。

 

さすがの私も彼女のすばらしい気配りには参りました。

私は彼女に、嘘も方便ということを勉強させてもらいまし