背中の大きなホクロ

 

私は昨夜とても悲しい夢を見ました。

忘れないうちにブログに書き残すことにしました。

 

あるところに両親と子供の3人家族がマンションに住んでいました。

父親は建設会社に勤め、母親は専業主婦でした。

 

子供の名前は智之で小学校の1年生でした。

 

父親は子供が大好きで、仕事の休みの日にはいつも智之を公園に連れて行って

一緒に遊んでいました。

 

父親は厳しい仕事で疲れる毎日でしたが、休みの日に智之と過ごす時間は

彼のこころを安らげるしあわせなひと時でした。

 

父親は智之が生まれたばかりの頃から、一緒にお風呂に入るのが習慣でした。

母親が夕飯の支度をしている間、父親は智之をお風呂に入れていました。

 

生まれたばかりの頃は、父親が抱っこして、母親が智之の身体を洗いました。

 

少し大きくなって智之が自分で体を洗うようになりましたが、シャンプーが

大嫌いでした。

 

智之が洗った頭に、父親がお湯をかけると、足をバタバタして首を振り、

「シャンプーはいや」と泣き叫びました。

 

智之は石鹸が目に入り、息ができないつらさをとても嫌がりました。

父親は智之のシャンプー嫌いを何とかしようとシャンプーハットを買いました。

 

それを使ってシャンプーをしたところ、智之はシャンプーに慣れました。

 

智之が小学校に入る前には、智之が父親の背中を洗ってくれるようになりました。

 

智之が父親の背中を洗う時、父親の首から少し下の右側の背中に大きな

ホクロがあるのに気が付きました。

 

智之は父親に、「お父さんの背中に大きなホクロがあるのを知っている?」

と言いました。

 

父親はそれまで背中にホクロがあるのを知りませんでした。

父親は智之にホクロがどこにあるのか手で触って教えてもらいました。

 

それから智之は、いつも父親の大きなホクロを見ながら背中を洗いました。

智之は父親に「いつまでもお父さんの背中を洗ってあげるね」とやさしく言いました。

 

それを聞いて父親は、いつまで洗ってくれるのかなと喜びました。

そんなしあわせなホームドラマのような生活に不幸が訪れました。

 

父親が会社の健康診断を受けた時、胃に異常があり、要精密検査という

診断結果が出ました。

 

以前から胃の調子が悪く、いつも胃腸薬を飲んでいた父親は心配になり、

病院で再検査を受けました。

 

するともう手遅れの末期がんでした。余命半年の死刑判決のようでした。

 

入院して抗がん剤で治療する父親は、看病する妻に、「智之にはこの病気のことは

黙っていてほしい、すぐに治るから心配するなと伝えてほしい」と言いました。

 

入院してしばらくは智之は母親と一緒にお見舞いに来ていましたが、

 

だんだん父親は智之を遠ざけるようになり、妻にしばらく智之を連れて

こないようにと言いました。

 

なぜならば、鏡に写る自分の姿をみて、驚きを隠せませんでした。

 

だんだん髪の毛や眉毛が薄くなり、頬は痩せこけ、目と耳が異常に目立って

きたからでした。

 

父親はだんだんやつれていく自分の姿を智之には見せたくなかったのです。

 

それから、彼の身体はがんにおかされ、太り気味で70kg以上あった体重は

半分以下にまで激減しました。

 

髪の毛もまゆ毛もなく、痩せこけた顔には、今にもこぼれそうな大きな目と

大きく開いた耳、そして骨と皮だけの身体。

 

医師からお別れが近づいたと言われ、何も知らない智之は、母親に連れられて

久しぶりに父親の面会に来ました。

 

智之は久しぶりの父との面会を楽しみに病室に入りました。

 

しかし、そこには父の姿はありませんでした、ベッドに横たわる人は今までに

見たことのない、人の姿とは思えない宇宙人のように見えました。

 

そしてその宇宙人は涙を流しながら智之に手をさし伸ばしました。

 

智之は思わず、「おかあさん怖いよう、化け物が僕を捕まえようとしている」と

母親に言いました。

 

母親は智之に「これはあなたのお父さんよ、しっかり手を握ってあげなさい」と

言いました。

 

智之は、元気だった父親のこんなに変わり果てた姿を見て、絶対これはやさしかった

父親ではないと思いました。

 

智之は母親に「気持ちがわるいからもう帰ろうよ」と言った時、宇宙人の着ている

パジャマの背中がはだけ、大きなホクロが見えました。

 

このホクロはいつも一緒にお風呂に入っていたお父さんのものだとわかりました。

 

それを見て智之は「これは本当に僕のお父さんだ、気持ちが悪いなんて言って

ごめんなさい」と言って父親の手を固く握りしめました。

 

私はここで目が覚めまし