もしゴキブリがブログを書いたら

 

私は最近、夏バテで体調を崩しています。

 

そこで、今回は、先ほどキッチンを走り回っていたゴキブリを捕まえたので、

このゴキブリさんに私に代わってブログを書いてもらいます。 

 

 

私は多くの人間から嫌われているゴキブリです。

まず私の自己紹介をします。

 

私の祖先は3億年以上も前に誕生しています、クロマニヨン人に代表される

新人類が誕生したのが約20万年と言われているので私は人類の大先輩です。

 

私の足はとても早く1秒間で体長の約50倍の距離を移動できます。

人間世界では新幹線並みの速さです。

 

 ところで、私はいつも人間の皆さんと、影に隠れてこっそり暮らしていますが

そこから見る人間の世界は、ゴキブリの世界とは全然違いますね。

 

この家にいる中学生の男の子、学校ではイジメの中心人物と仲良くなり、特定の子を

一緒にいじめています。

 

そのイジメのリーダーは親からの暴力・暴言で虐待され、その腹いせで同級生を

いじめているようです。

 

私の家の彼はさぞかしイジメは楽しいと思っているかと言えば、そうではなく、

ちょっと違っているようです。

 

小学校の時イジメに会い、いじめられる方の気持ちが十分わかっているようです。

 

いじめられることの辛さや恐さがわかっているからこそ、イジメの対象にならない

ようにいじめる側に入っているようです。

 

いじめられる子に同情でもすれば、彼もいじめられる対象になると思っています。

そのため彼は自分を守るために容赦なくイジメに参加しているようです。

 

これではいつまでたってもイジメはなくなりませんね。

 

この家に人のには気付かれませんが、家には私の隠れ仲間が数百匹いますが、

ゴキブリの社会ではこんな陰湿なイジメはありません。

 

社会人のお姉さん、彼女は工場勤務のようですが、お昼の休憩時間はみんなで

 一斉に食堂でお弁当を食べます。

 

女性はいくつかのグループに分かれて、それぞれ楽しそうにお話をしながら

食べているようです。

 

ところが、このお姉さん、一人で離れて黙々と食べています。

何らかの原因でどこのグループにも入れてもらえないようです。

 

仲間に入っていけない彼女を見ると、とてもつらそうに見えます。

毎日独りぼっちでたべるお弁当はどんなにか空しく惨めな気持ちでしょう。

 

もしその工場が、男性にはわからない、本音と建前をうまく使い分ける女性の

序列社会だったら、彼女は馴染めなかったのかも知れませんね。

 

ゴキブリの社会では序列などなく、みんなひとりひとりで食べるので、

つらくはありません。

 

専業主婦のお母さん、何やら玄関から首をのぞかせ、こっそり外を見ています。

 

見えるのは、彼女にとってはいやでいやで仕方のない、近所の主婦が集まる

井戸端会議。

 

彼女が一人でそばを通る時、急におしゃべりをやめて横目で見るみんなの冷たい視線。

きっと自分のうわさをしているに違いないと思い、逃げるように通り過ぎる彼女。

 

そんな彼女はいつまでも井戸端会議が終わるのを待って、出かけるまでが苦痛の時間。

 

ゴキブリの社会では、みんな、目にもとまらない速さで通り抜けるのでそんな

心配はいりません。

 

もっとも、ゴキブリは他のゴキブリの悪口など言いません。

 

お父さん、家族のために寝食を忘れて激務に耐えて働いた結果、無理をしたせいで

身体を壊しリストラの対象となりました。

 

再就職のために就職活動してもなかなかいい仕事はありません。

 

山ほど履歴書を書いても面接までたどり着くのは至難の業。

 

やっと面接までたどり着いても面接官は自分より10歳位若い人事担当者。

 

志望動機はなにかと聞かれ、内心では給料がそこそこで楽そうな仕事だからと

言いたいが、ぐっとこらえて、御社の企業理念に強く惹かれたと噓をつく。

 

その結果、人の価値も分からない、まだまだ若造に、厳しい評価をされて落ち込む彼。

 

人間は歳をとればどんなに人柄が良くても、こんなに価値がなくなるのかと

嘆き悲しむ彼。

 

ゴキブリの社会では年齢は関係ありません。

会社に雇われることなく自由に生きる素晴らしい世界です。

 

人間は私の姿を見て、醜くて汚いと思っているかもしれませんが、

人間社会から比べるとゴキブリの社会は美しくて純粋ですよ。

 

本当は、醜くて汚いのは人間の社会の方だとゴキブリの私は思います。

 

私は人間ではなく、ゴキブリに生まれてとても幸せです。