悩んで悩んで

 

私は中学校に入った頃、悩みがありました。

それはとても辛い悩みでした。

 

実は、私はクラスの男子の中で一番毛深かったのです。

 

最初に気付いたのは、足のふくらはぎよりも下の部分に太くて長い毛が

生えてきたことです。

 

普段は長ズボンなので気にはなりませんが、運動会は半ズボンになります。

 

1年生の時は母親に一番長いソックスを買ってもらって何とかみんなに

毛深いのに気付かれませんでした。

 

その頃、私はまだまだ親に甘える子供のような気持ちでした。

同じクラスの、ませてる男子生徒でも私のように毛深くありません。

 

こころの成長を越える身体の成長の早さに私は悩みました。

 

そのうち足の毛深さは膝まで上がってきました。

もうソックスでは隠せません、次の運動会のことを考えると恐怖に感じました。

 

毛を剃ってはどうかと思いましたが、剃るとさらに濃い毛が生えると本で読み、

そうなればもっと地獄です。

 

さらに追い打ちをかけることが起きました。

 

お風呂に入って胸を洗っていると、短いけれども、濃い毛が生えているのに

気付きました。

 

私はまた、ショックを感じました、足だけではなく、胸毛まで生えてきたと。

 

その頃、私はテレビでプロレスを見るのが楽しみでした。

そこには胸毛の生えた野蛮な外国人レスラーが日本人レスラーと戦っていました。

 

反則を繰り返す野蛮な外国人レスラーは胸毛がさらに凶暴性を象徴するように

見えました。

 

私はそれを見て、もじゃもじゃの胸毛は気持ち悪いなと思っていました。

しかし、私もいずれその仲間に入るのかと思うと、とても辛く思いました。

 

2年生になった時です、春に身体測定がありました。

男子は上半身裸になり、出席番号順に、身長・体重・胸囲を計ります。

 

男の先生が測定しますが、同じクラスの保健係の女子がそれを記録します。

私はその女の子が好きでした、でも、私の胸毛を見るとどう思うでしょう。

 

私は胸囲の測定の時、恥ずかしくて彼女の顔を見ることはできませんでした。

 

秋の運動会になる頃にはますます毛深くなり、運動会で毛深いすね毛を 

見られた私はクラスの注目の的となりました。

 

ある時、休憩時間にクラスメイトの男子が、お前は毛深いけれど、下の方の毛も

ぼうぼうだろうと聞いてきました。

 

恥ずかしくて、私はこれ以上話が先に進むのがいやで観念して頷きました。

 

隣に座っていた女子は、それを聞いていないふりをしていましたが、ほおがポット

赤らむのが見えました。

 

今までになかったような屈辱です。

 

私は月ごとに毛深くなっていく身体を親にも誰にも相談できませんでした。

私は何も悪いことはしていません、ただ、生まれながらに毛深い体質だけです。

 

自分が人と違っていることはとても辛く感じました。

 

その後、中学を卒業するまで自分のことしか見えていませんでした。

 

高校に入学して身体測定がありました、新しいクラスの中には私と同じくらい足に

すね毛が生えている生徒がたくさんいました、胸毛が生えている子も何人かいます。

 

気がつかないうちに、みんなが私の身体の成長に追い付いてきたのです。

私は一気に悩みが解消しました。

 

私は3年近く悩み続けましたが、誰か一人でも同じ悩みをもつ人がいればもっと

違った中学での生活だったと思いました。

 

気持ちを共感してくれる誰かがいればとても心強かったと思います。

 

あの頃はまだブログはありませんでしたが、もしその頃、私の悩みをブログに

書けば、何人も、同じ悩みを持つ私に共感してくれたかもしれません。

 

あの頃ブログがなかったのがとても残念です。

きっとブログがあれば私の強い味方になったと思います。

 

本音で書けば書くほど共感を呼ぶ、ブログって本当にいいですね。