お葬式の気持ち

 

数年前の事です。

 

お昼の休憩時間に食事をしていると妻からスマホにメールが届き、何かと見て

みると、妻のお父さんが亡くなったので連絡をくれとの事。

 

早速電話したところ、以前から患っていた心臓病が悪化し亡くなったようです。

通夜があり、翌日葬儀があると言いました。

 

私は慌てて明日の仕事の役割を部下に任せるために午後から打ち合わせをしました。

 

通夜も終わり、翌日は葬儀でした。

 

葬儀は10時からとなっていましたので妻と一緒に少し早めに9時過ぎに葬儀場に

到着しました。

 

喪主は妻の母親でしたが、 親族の大半はすでに到着しており、私たちが到着した時、

もう少し早く来てお手伝いをしないのかとみんなから冷たい視線を感じました。

 

案内係が来てそろそろ葬儀が始まるのでと会場へ案内されました。

 

喪主が最前列の中央に座り故人と関係の深い 順に座りますが、その順番を決めかねる

人の動きを見ると、右往左往してとても興味深いです。

 

僧侶のお経が始まりました。私は宗教にはあまり関心がないので、うわの空です。

 

焼香が始まりました。

 

私は子供の頃、母親に焼香の仕方は前の人を見て同じようにしなさいと

教えてもらったので、いまでもそのようにしています。

 

そのうちお腹がグーとなりました。朝ごはんを食べていなかったからでしょう。

しばらくするとまた、グーとなります。

 

恥ずかしいので早くお経が終わることを切に祈りました。

 

お経が終わって僧侶からありがたいお話がありますが、私の場合、10秒で忘れます。

 

それから告別式です、花入れの儀が始まりました。

みんなできれいなお花を故人の棺桶に飾ります。

 

私の人生、一花咲かせることができなかったので、悔しくて山ほど花を

入れて、私の代りに故人に花を咲かせました。

 

それからマイクロバスに乗って霊柩車の後からついて行きます。

 

豪華な霊柩車を見て、私が生まれ変わったら、黄金に輝く霊柩車のような

人生を送りたいと思いました。

 

人里離れた山奥に行くにつれ私の心は暗く沈んでいきました。

火葬場に到着しました、殺風景な建物ですが何故か心が安らぎました。

 

火葬の係の人が説明の後、神妙な顔で棺桶を火葬炉に入れ、電源スイッチを

入れました。

 

私は思いました、とても熱くて辛そうなのでこんな目にあうなら死にたくないと。

 

しばらく待合室でお弁当を食べながら焼けるのを待ちました。

 

私は故人が焼かれていることを思うとなかなか食事が喉を通りませんでした。

そのため、お水代わりにビールを飲んで喉の通りをよくしました。

とてもおいしくてビールのお代わりをしました。

 

周りを見ると、世間話で盛り上がり、大声で笑っている人もいます。

 

私は、この人はまるで焼き芋が焼けるの待っているような気持ちなのかと

理解できませんでした。

 

私は焼き芋は大好きです、スーパーなどでは焼きながら販売していますが

私は焼きあがる時間が待ち遠しく思います、そんな気持ちでしょうか。

 

一時間ほどしてアナウンスがあり親族は収骨室に移動しました。

 

みんなは焼かれて白くなった骨を囲んで、白い手袋をした係の人の説明を

聞いています。

この骨は腰の骨だとか、喉の骨だとか。

 

私は心はどこにあるのか質問したかったのですがそんな雰囲気ではありませんでした。

 

そして二人ずつ長い箸を持って順番に骨壺に骨を拾って納めます。

最後に喪主が喉仏の骨を乗せて蓋をしました。 

 

私は出来立てのお弁当に熱々のおかずを箸で詰めて蓋をした時のように

思いました。

 

 そして葬儀場に戻ると初七日の法要をすると言われました。

私が気が付かない間に1週間が過ぎていました、狐につままれたようです。

 

また長いお経を聞くのかと思うと、私はもう勘弁してよと思いました。

 

こうして無事葬儀が終わりましたが疲れました。

 

私はブログではこんなこと書いていますが、現実では、立派で思慮深い常識人の

仮面を被って暮らしています。

 

あなたはどうですか?