死ぬまで一緒

 

私はみなさんが書いたブログを読むのが楽しくて仕方がありません。

 

ブログとはこころの履歴書であり、よりよい生き方・暮らし方を見つける

百科事典のような気がします。

 

私はみなさんのこころの中に引き込まれ、こころの世界を渡り歩きます。

そして私はブログを読んでいると夢中になり、時間を忘れてしまいます。

 

なので、ついついブログを読み過ぎて、最近、目が疲れるようになりました。

私は疲れ目に効く目薬を買いにドラッグストアに行きました。

 

いつもはショッピングセンターの中の薬局を利用しているので、何年振りかの

ドラッグストアです。

 

私は驚きました、最近のドラッグストアは、ここは食品売り場かと思うほど

食品の品揃えが充実していますね。

 

少しですが、お肉や野菜などの生鮮食品まであるんですね。

私は広い店内を歩き回りやっと小さな目薬を見つけました。

 

私が目薬を買ってお店の外に出た時、私の前を80歳くらいの男性が、足がふらつき

今にも転びそうに、ゆっくりとした足取りで歩いていました。

 

私は心配になって彼に追いつき、「大丈夫ですか、どこまで行かれるんですか」と

尋ねました。

 

すると彼は駐車場に止めてある彼のクルマを指さしました。

私はそんな弱々しい体で運転しても大丈夫なのかと思いました。

 

私は彼の車まで一緒に歩きながら少し話をしました。

 

彼は今まで毎日ずっと運転をしているし、歩くときほど足に力を入れなくて

いいので大丈夫だと思っているようです。

 

田舎では車がないと病院通いや買い物が不便で、車はなくてはならないそうです。

でも高速道路や夜間は危ないので運転しないようにしているようです。

 

本当はそろそろ運転免許証は返納したいと思っていても、車がないと奥さんの

面倒が見れなくなるそうです。

 

彼の家にはベッドと車いすで生活する寝たきりに近い奥さんがいるそうです。

 

週に何度か看護師さんが訪問して様子を見てくれるそうですが、それ以外は

彼がひとりで奥さんを介護しているようです。

 

彼は奥さんとは50年以上連れ添っていて、彼の仕事の休みにはいつもふたりで

買い物に行き、旅行にもよく行ったそうです。

 

ふたりには子供がいなくて、夫婦水入らずで、喜びも悲しみもお互いが共有し

とても仲が良い夫婦だったようです。

 

でもだんだん奥さんの身体の自由がきかなくなり、今では奥さんの身の回りのことは

ほとんど彼がやっているそうです。

 

痩せてやつれた奥さんを抱いてベッドから車いすに移乗する時、その軽さに

かわいそうで涙が出るようです。

 

彼も高齢であり、そろそろ奥さんを老人ホームに入れたらどうかと訪問する

看護師さんに言われることがあるそうです。

 

でも今までずっと一緒に暮らしていた奥さんを、老人ホームに入れるなんて

まったく考えていないようです。

 

奥さんを老人ホームに入れて自分が一人で暮すなんてそんな薄情なことは

できないし、そうすれば彼自身が寂しくてやりきれないそうです。

 

彼には奥さんがいない生活は考えられないようです。

 

奥さんがいつもそばにいてくれるだけでいい、たまに微笑んでいる顔を見るだけで

本当にしあわせに感じるそうです。

 

彼が車で外出する時はいつも奥さんに、もし、自分が帰って来なかったら

事故だと思ってくれと言うそうです。

 

万が一の時は、いつも来る看護師さんに電話するようにと奥さんの枕元に

携帯電話を置いていくそうです。

 

さすがに奥さんは申し訳なさと心配で涙を流すそうです。

 

彼は「大丈夫だよ、俺が死んだらお前の面倒は誰が見る、心配しないで」と

言って出かけるそうです。

 

そこで話は終わりました。

 

私は足が大丈夫でも反射神経が鈍っているのではないかと心配しましたが、

彼はゆっくりゆっくりクルマに乗り込み、さっと帰っていきました。

 

私は去って行く彼の車を見送りながら、彼の奥さんに対するやさしい気持ちに

こころを打たれました。

 

その時私はいつも口喧嘩をしている妻のことを考えました。

仲が悪い時もありますが、今まで辛抱してわがままな私についてきた妻です。

 

将来、妻の介護が必要となったら、その時は、妻のおむつは私が替えて

あげよう、それが妻への恩返しであり私の生きる道だと思いました。