自分本位な彼

 

私の友人に診療放射線技師がいます。

彼とは中学校の時からの長い付き合いです。

 

彼は専門学校を卒業して国家試験を受け、その国家資格を取得しました。

 

診療放射線技師とは外から見ることができない骨や臓器などの人体の中身を

撮影して医師の診断の手助けをする人のことです。

 

彼は病院に勤務し、患者さんのレントゲンを撮っています。

 

以前私は彼に、今の仕事は被曝のリスクはないのかと聞いたところ、放射線

それを発生させる装置を安全管理しているからその危険性は低いと言いました。

 

私は彼に、給料は高いのかと聞くと、その病院の看護師よりは少し高い程度だと

言いました。

 

仕事の話はさておいて、彼は非常に自分本位な人間です。

 

コロナの前のことです。(嫌な世のなかですね、これを書いておかないと、

コロナ禍で飲んで騒ぐとはけしからんと怒られます。)

 

彼とは一緒によくお酒を飲みに行くのですが、私の都合を聞かないで

突然、今日一緒に飲みに行こうと誘ったり、彼が誰かと飲んでいるとき、

 

私に電話して、今お前のことで話が盛り上がっているからすぐ来いよと

私を誘うことがありました。

 

よほどのことがない限り彼に付き合いますが、突然の誘いは面倒くさいのです。

夜の食事を終えてゆっくりしている時の誘いは特に嫌です。

 

今から夜の街にタクシーで出かけるのかと思うとまったく気が乗りません。

断ればいいのですが、長年の付き合いで私の性格をよく知っていて巧みに誘います。

 

彼は私がものを頼まれたらいやとは言えない気弱な性格をよく知っているのです。

 

彼は若い頃結婚しましたが奥さんの気持ちを理解することができず、わずか

3か月で離婚し今まで一人暮らしなので、寂しいのでしょう、そんなとき私の都合を

 

聞かないで電話で誘ってきます。

 

メールであれば、断りやすいのでしょうが、直接、人情味あふれる声で訴える

ように誘ってくるので断り切れません。

 

私のこころは彼に握られているのかもしれません。

 

私と彼が一緒に回転すしのお店に行った時の事です。

彼は回ってくるお寿司を二皿取って、一つを私の前に置きました。

 

彼は一皿だけ食べて、これはうまいからお前も食べてみろと私に勧めました。

 

私は好き嫌いはないので何でも食べますが、彼は自分が美味しいものは

私が食べても美味しいだろうと勝手に思い込んでいます。

 

私は彼の性格をよく知っているので、悪気があってそうするのではないことは

わかっていますが、余計なお世話なんです。

 

私が病気で入院していた時の事です。

彼は私のことを心配してお見舞いに来てくれました。

 

私の手術後の経過が良かったのでとても喜んでくれました。

そしてお見舞いにと私に古銭をくれました。

 

私はどうしたのかと聞くと、この古銭は自分が趣味で古銭収集してきた中で

一番大切なものだから、きっと喜んでくれるだろうと思って持ってきたと言いました。

 

私は古銭には興味がないので彼がくれた古銭にはまったくありがたみを

感じませんでした。

 

彼が大切にしているものは、私にとっても大切なものだと思ったようです。

彼は人の言うことを聞きません、自分がいつも正しいと思っています。

 

彼は自分らしく生きていると思っているかもしれませんが違います。

彼は、人の気持ちを理解しようとしない、わがままで自分勝手なのです。

 

それでも彼とは縁を切りません、それが私という人間なのです。

たとえどんな人であっても、私はすべての人を愛します。

 

彼は仕事で人体の中を撮影しますが、たまには私のこころの中を撮影してほしいです