出世したくない人

 

もう書くネタがない、これが最後のブログだと思い、読者の皆さまとは

これでお別れなのかと寂しい気持ちでいつも投稿していますが、不思議な

ことに書けちゃうんですね。

 

今日はこんなことを書いてみました。

 

私の会社には私を含めて、出世したくないと思っている人が何人かいます。

 

私の場合は今までのブログに書きましたが、子供の頃とても貧乏だったので

出世していい給料をもらわなくても今の少ない給料でも十分生活できています。

 

むしろ給料をもらえるだけでありがたく思い、仕事より自分の時間を大切に

しているので自分らしく生きていくことができていると思います。

 

私のような人間は特別なのかもしれません。

 

10年ほど前のことです。

 

ある時、お昼休憩の時間に、そんな出世したくない人の中で、親しい男子社員が

私に相談があるから話しを聞いてほしいと言ってきました。

 

その日は、お昼休憩に食事を早めにすませ、ふたりで近くの喫茶店に行きました。

 

彼は私より5年後輩で、奥さんと中学生と小学生の子供がふたりいてこれから

お金がまだまだ必要なので頑張らなければならないと言いました。

 

しかし、彼は上司である管理職の働きぶりをいつも見ていて、とてもハードな

仕事なので、そんな仕事はやりたくないと言いました。

 

早朝から深夜まで働き、責任はとても重く、上司と部下との板挟みでいつも

疲れているように見えたそうです。

 

その上司との会話は上からの指示を伝えるのと、それができているかどうかを

チェックするだけでまったく人間味がなかったそうです。

 

何か相談事をしようにも忙しそうでそれもできなかったそうです。

 

こんな上司を見て、彼は自分は全く管理職には向いていない人間だと思っている

ようでした。

 

彼は、家庭の生活を守るためにはいずれ管理職となり、いやいや仕事をしなければ

ならないのかと悩んでいました。

 

本音は家庭のことがなければ出世したくなかったそうです。

 

私のように質素な生活をすれば出世しなくてもなんとか生活できると言いましたが、

 

彼は今までの生活レベルを落とすことはできないし、妻や子供たちも

よりよい生活を期待していると言いました。

 

彼は私にどうしたらいいのだろうかと聞いてきました。

私は出世を希望しない人間です、その私にそんな悩みを聞かれても困りました。

 

私の生き方に賛同しない彼に、先輩ぶってカッコつけ、他人事のように無責任な

こんなことを言いました。

 

君の上司が今やっている仕事を全部否定してみませんか。

早朝から深夜までの仕事は見直しが必要です。

 

会社からの指示も、何をしてほしいのか本意がわかれば、無駄なことはしなくても

いいのです。

 

ただ伝えるのではなく自分で考えてわかりやすく伝えるのが必要です。

会社からの指示の本意がわかれば、部下にこころで伝えることができます。

 

また、簡単な仕事は部下に任せるのも一手です。

部下は管理職の仕事を理解することで自分でもできると安心するでしょう。

 

そうすれば上司と部下との板挟みもなくなるでしょう。

管理職はできるだけ定時で帰るようにします。

 

そうすれば管理職の顔はもっと明るくなるはずです。

 

その生き生きとした表情で働く管理職を見ればきっと部下も早く管理職に

なりたいと思うでしょう。

 

私のいい加減なアドバイスになぜか彼はヒントを得たようでした。

 

それから彼は今の仕事を見直して、上司に仕事についての彼の考え方を提案する

ようになりました。

 

その後彼は、人事異動で私とは離れ離れになりましたが、あれよあれよと

いう間に、支店長、本社課長と出世街道まっしぐらとなりました。

 

彼は最初、自分は管理職には向いていないと言っていましたが、今では

彼ほど管理職に適した人はいないと思わせるような仕事ぶりです。

 

私の言ったことが少しでも彼のために役に立ったなら幸せです。

出世しない私、出世した彼、それぞれ自分らしく生きればそれでいいと思います。

 

でも少し羨ましいです(こころの声)。