こころに正直であること

 

みなさんは仕事が辛くて辞めたいと思ったことはありませんか?

 

どんな仕事でもお金をもらって働くということは大変だとつくづく感じます。

ストレスを抱えながら我慢して仕事をしている人もたくさんいるでしょう。

 

私は会社のみんなから、あなたはいつもマイペースで仕事をしていてストレスが

なさそうなので、羨ましいと言われます。

 

でも私は、朝起きて、今日も楽しく仕事をしようとワクワクする気分には

めったになりません。

 

私は学校を卒業してから今の会社でずっと働いていますが、会社を辞めたいと

思ったことは何度もあります。

 

一度や二度ではありません、両手両足で数えきれないくらいあります。

 

重要な仕事で失敗をして周りのみんなに大変な迷惑をかけた時、大嫌いな

上司に理不尽な扱いを受け、悔しくて力いっぱい両手の拳を握りしめた時などです。

 

私の会社員生活は失敗続きでした、よくここまで仕事が続けられたと思います。

 

でも私の給料で生活している家族のことを思うと会社を辞めることはできません。

この年齢で会社を辞めたら、どこも正社員で私を雇ってくれるところはないでしょう。

 

リストラで会社を去る上司に、涙ながら、お前は絶対会社に残れよと言われたことは

今でもこころの中に強く残っています。

 

そんな私ですが長く今の会社に勤めていると部下から何度か転職の相談がありました。

 

理由を聞くと、今の仕事が面白くない、給料が安い、将来性がない、仕事が辛い、

人間関係がうまくいかないなどいろいろな悩みがあるようです。

 

私は特に、人間関係がうまくいかなくて会社を辞めたいと思っている人には、

絶対に会社を辞めてはいけないと言います。

 

私の会社には様々な家庭環境の人が集まって仕事をしています。

 

独身の人もいれば、家族持ちの人もいるし、幼い子を持つシングルマザー、

親の介護をしながら仕事との両立に苦労している人もいます。

 

また、元気で明るい人だけでなく、体調不良や様々な原因でこころの病で

苦しみながら働いている人もいます。

 

みんな自分が生きていくことに必死なんでしょう、他の人のことを気遣う余裕が

ない人もいるかもしれません。

 

そんな中ですべての人と良い人間関係を築くことはとても難しいことだと思います。

どこの会社でも自分とは合わない人は必ずいると思います。

 

なので、ここの会社がいやで転職しても、必ず良い結果が出るとは限りません。

 

会社には様々な人がいますが、唯一の共通点は、この会社で一緒に働いていると

いうことです。

 

私はこの広い世界で偶然にこの会社に集まった人たちとの縁を大切にしたいと

思います。

 

ある時、入社2年目の男子社員が会社を辞めたいと私に相談に来ました。

私は彼に、あなたはどんな仕事がしたいのかと聞いてみました。

 

すると彼は、今より精神的・肉体的に苦痛がなく、少しでも給料の高いところに

再就職したいと正直に彼のこころの中を話してくれました。

 

私も彼と同様、会社を辞めたいと思うことはよくあり、彼の気持ちも理解できます。

でも私は、安易な気持ちで転職を考えている彼の将来が、とても心配になりました。

 

私は噓も方便、彼を何とか引き止めたくて彼の転職の悩みに対して、こころにも

ないアドバイスをしました。

 

いくら会社の仕事が辛くても、あなたを愛して成長させてくれる試練だと思えば

気持ちが楽になります。

 

給料が安いのは仕事を愛していないからです、仕事を愛せば必ず業績がよくなり

給料は上がります。

 

仕事が面白くないのは感動がないからです、みんなで会社を愛せば共感が生まれます。

生きたこころで会社に活力が湧いてきます。

 

愛で結ばれた人間関係はしあわせの世界です。

 

私がこんな気持ちを熱っぽく語って彼を何とか引き止めようとしましたが、結局、

私の気持ちが伝わらず、残念ながら彼は会社を去っていきました。

 

会社を辞めたいと思いながら我慢して働いている私のアドバイスは、説得力が

まったくなかったのでしょうね。

 

私のこころは見透かされていたようです、私に相談しなければよかったのです。

今から思えば顔から火が出るような恥ずかしいアドバイスでした。

 

もう一度聞きます、みなさんは仕事が辛くて辞めたいと思ったことはありませんか?

 

そうなんです、宝くじが当たって早く仕事をリタイアしたいというのが私の本心です。

 

嘘をついてはいけません、人はこころに正直でなければいけませんね。