幸せ色の愛の架け橋

 

私の会社に、若いのにまったく元気のない女子社員がいました。

普通に仕事はするのですが、あまり笑顔を見せることはありませんでした。

 

お昼の休憩時間でも、スマホばかり見ているようでした。

彼女のこころはどこか寂しさがあるような気がしました。

 

私は気になって、毎日少しずつ彼女に声をかけるようにしました。

できるだけ明るい話題を持ちかけ、彼女の気持ちが晴れるようにと。

 

私はできるだけ温かい気持ちで彼女と接することを続けました。

次第に彼女と気持ちが通じるようになりました。

 

ある時彼女が、私に相談したいことがあると言ってきました。

 

私がなにかと聞くと、彼女は恥ずかしそうに、自分の部屋がゴミだらけになって

どうしようもなくなったと言いました。

 

もう2年間もほとんどゴミを捨てないで、そのままにしていたら、ベッド以外は

ゴミの山になったそうです。

 

彼女は狭いマンションで一人暮らしのようでした。

私は彼女に、どうしてそんなになるまでゴミを捨てなかったのかと聞きました。

 

彼女がマンションに住み始めた頃は、一人の自由で気ままな生活に満足していて、

きちんとゴミは捨てていたようです。

 

ところがある時、彼女はひどい風邪にかかり、3日間、一人で部屋で寝込んでしまい、

高熱でこのまま死んでしまうのではないかと、とても心細い思いをしたそうです。

 

それから誰にも頼れない一人暮らしに、不安と寂しさを感じるようになったそうです。

彼女はその時、人とのこころの繋がりの大切さに気がつきました。

 

でも彼女には何でも話せる親しい友達もいなく、仕事場でもいつも孤独を感じて

いたそうです。

 

彼女はなんとか友達になってくれそうな人を探しましたが、うまくいきませんでした。

そんなに簡単にこころの友達はできるはずがありません。

 

外で見かける家族連れを見ると羨ましく思い、寂しさを紛らわすためにものを買い、

部屋にものがあふれ、それを見て安心感を覚えるようになったようです。

 

自分の気持ちを理解してくれる人のいない一人ぼっちは、とても苦痛のようでした。

どうせ自分は一人ぼっち、誰も自分のことなんて思ってはくれないと思いました。

 

通り魔事件をニュースで見て、犯人の気持ちはどうなんだろうと考えることも

あったようです。

 

そんな彼女には、自分の部屋の掃除なんかする気が起こらなかったようです。

それで私に、ゴミを処分する業者を知っていないかという相談でした。

 

私は寂しがり屋に関しては彼女に負けません、その気持ちはよくわかります。

 

私は彼女の相談を聞いて、今のままでは、きれいにしてもまた、部屋はゴミだらけに

なってしまう、まず、君のこころの掃除のほうが先だと言いました。

 

私は彼女に、あなたのこころが、誰かからのやさしい愛を求め、孤独から救って

もらいたいと思っているのではないのかと言いました。

 

でも誰も救ってはくれない、だからあなたは自暴自棄になって何もしたくなく

なったのでしょうと言いました。

 

私の今までの、寂しさを感じた時の、人生経験から彼女に忠告しました。

 

あなたは人に愛されることを期待するのではなく、まず、人を愛しなさい。

人の気持ちを理解し、深く愛してあげなさい。

 

そうすればあなたのこころに熱い血が流れます、その熱さであなたのこころは

温まり、気持ちが楽になるはずです。

 

あなたの愛は人に伝わり、そして人は、あなたにこころの扉を開くでしょう。

そしてそこには、幸せ色の愛の架け橋があり、こころとこころを繋ぐことでしょう。

 

愛とは与えられるものではなく、与えるものなのです。

 

彼女は自分が孤独で寂しいのは、人が自分の気持ちを理解してくれないからだと

思っていましたが、間違っていたと気がつきました。

 

私は彼女が私の話を理解してくれたようなので、ゴミ処分業者を紹介しましたが

それから彼女がゴミで困ったという相談はなくなりました。

 

こころの汚れは部屋のように簡単にきれいにはできませんよ。

こまめに愛を使ってきれいに掃除してくださいね。