輝く無数の星

 

先月のことですが、私は土曜日のお昼に古くからの友人と待ち合わせて

コメダ珈琲店で食事をしました。

 

私はハムサラダとコーヒーとみそカツパンを注文しました。

 

私は小心者で自己主張をしないので、みんな安心して私と仲良くなってくれます。

それで結構友人は多いほうだと思います。

 

その友人である彼は、学校を卒業して、あるIT関連の会社に就職しました。

 

ところがいくらでも仕事があり、あまりにも過酷な環境だったので、

このままでは身体を壊してしまうと思い、その仕事をやめました。

 

その後、いろいろ仕事を探しましたが、いくら給料が高くても

以前の仕事のように労働環境が悪いと長く続かないと思いました。

 

そこで彼は、給料はあまり高くないけれど、介護の仕事なら人の役に立つ

仕事であり自分の性格に合っていると思い、介護福祉士の資格を取り、

 

老人ホームで働くようになり、今まで続いています。

 

私は彼に、老人ホームではどんな仕事をしているのか聞いてみました。

 

まず、夜勤の人がひとりで早朝個室を回って、お年寄りの着替えを手伝います。

 

そして歩けない人は車いすに乗せて、一人ひとり食事スペースまで連れて

行くそうです。

 

その施設では8時から朝食なので、十数人のお年寄りの着替えは時間との

闘いだそうです。

 

それが遅れると、食事の時間がずれ込み、日勤の人に迷惑がかかるそうです。

この後夜勤と日勤が入れ替わり、日勤が続きの仕事をするそうです。

 

食事が終わると後片付けをして一部のお年寄りはまたベッドに戻し、

 

自分で動ける人は椅子に腰かけ、気の合った人とお話をしたり、テレビを

見たりして過ごすそうです。

 

お昼までにお年寄りのトイレ誘導やおむつの交換をし、時にはレクリエーション

のために、みんなを運動スペースまで連れて行くそうです。

 

元気な人には、施設外に散歩にも連れて行くそうです。

 

昼食後は少し時間を空けて入浴時間となるそうです。

夜間は職員が最少人員なのでお風呂は日中となるようです。

 

お風呂は一人が30分程度かかり、毎日入れられないので、入浴は週に

3日程度だそうです。

 

その間、他の職員はおやつを出したり、トイレ誘導やおむつ交換だそうです。

 

また、体温を測ったり、健康チェックし、異常があれば看護師の指示を

受けるそうです。

 

そして夕食が終われば夜勤と交代して日勤は帰るそうです。

 

夜勤も楽ではないそうです。

 

みんなが早くベッドで眠ってくれればいいのですが、中には施設内を徘徊する

人がいて落ち着かせるのに大変だそうです。

 

また、各室には呼び出しベルがあり、呼ばれるとすぐに駆けつけなければなりません。

ベルが同時に鳴ると大変です。

 

駆けつけてみれば、背中が痒いのでかいてくれとか、机にある本を取ってくれとか

そんな事がよくあるそうです。

 

認知症の人で眠るまで、5分おきくらいに何度も何度もベルを押し続ける人には

参ってしまうそうです。

 

私は彼に、誰もが思うような初歩的な質問をしました。

お年寄りのうん〇やおしっ〇の処理は大変だろうと聞きました。

 

すると彼はそんな事はすぐに慣れるよと言いました。

 

彼はそんな事より、お年寄りとじっくりお話をすることで、その人の歩んできた

人生を知り、その人の人生で大切にしてきたことは何か理解することが

大切だと言いました。

 

そのうち、だんだん介護士との間に共感が生まれ、その人らしく生活をして

もらうことで、こころの窓を開いてもらえる。

 

その開いた窓から喜怒哀楽の感動を取り込めば、生き生きとした表情が生まれる。

 

それを見た若い人たちは、老いるってこんなに素晴らしいことだと感激する。

 

少子高齢化の時代、お年寄りが空に輝く無数の星のようにすてきな存在であれば

きっと日本の将来も明るいものになるだろうと言いました。

 

彼はそんな血の通った介護ができるようにと頑張っているようです。

 

私は介護の仕事ってとても大変だと思っていましたが、彼の話を聞くと

こんなに人間味のある素晴らしい仕事なんだと思いました。