世界一寂しい私

 

私はとても寂しがり屋です。

独身時代、転勤で初めての場所に移り、そこでアパートを借り一人住まいでした。

 

寒い冬の夜、仕事が終わり、誰もいない明かりもついていない寒い部屋に帰りました。

いつものことでしたが慣れることはなく、いつも寂しかったのを覚えています。

 

部屋の電気をつけ、寂しさゆえに、まず、テレビをつけて人の声を聞きました。

 

仕事帰りに買ったお弁当を食べながら見るテレビはとても空しく、豪華なお弁当

よりも、たとえ漬物とお茶漬けだけでも、誰かと一緒に食べるほうがよほど

おいしいだろうと思いました。

 

一人で見るテレビは、お笑い番組でも決して笑うことはありませんでした。

ただ、人の声を聞いて寂しさを紛らすだけでした。

 

仕事の休みの日に外に出かけて、子供連れの家族や若い男女のふたり連れを見ると

寂しさが増すばかりでした。

 

仕事が忙しければ寂しさを忘れるとよく言われますが、私はのんびり屋なので

寂しさを決して忘れることはありませんでした。

 

私が幼少の頃、母親の愛情をたっぷり受けて育った私は、幼稚園に入園した時、

 

朝、母親に連れられて幼稚園に行っていましたが、知らない間に母親がいなくなって

いるのに気付き、幼稚園を飛び出し、泣きながら家まで走って帰った記憶があります。

 

三つ子の魂百までと言いますが、いまでも寂しがりやの性格が続いています。

私は愛がないと、寂しくて生きられない人間かもしれません。

 

コロナのおかげで時代は変わりましたがその前までは

 

夏の海水浴でにぎわった浜辺に、秋風の吹く誰もいない海。

お祭りでにぎわった神社に、お祭りが終わったあとの誰もいない境内。

 

お盆やお正月に親戚が集まりワイワイにぎやかだった我が家に、親戚の帰った後の、

持ってきたお土産だけが残る誰もいない静かな部屋。

 

私は ひとりになると人一倍その寂しさを感じます。

 

ひとりの寂しさに耐えきれず、今の妻と結婚しましたが、仕事の休みの日には

いつも妻と一緒に買い物に行きます。

 

たとえ買い物について行って、いらないことを言ってバカにされても、ひとりで家に

残って留守番するほうが寂しいのです。

 

仕事が終わって家に帰った時、明かりがついているだけでそれだけで安心します。

もし明かりがついていなければ不安で仕方がありません。

 

ひとり 暮らしの人が、犬とか猫とかウサギとかペットを飼っているのは、私と同じ

気持ちではないかと思います。

 

先日開催された東京オリンピックの競技に、もし、寂しさを競う競技があれば

私は日本代表として参加し、金メダルを獲得し、世界一になったかもしれません。

 

しかし私はいつも誰かと一緒でないと寂しいと言うわけではなく、周りに誰か

気心のしれた人がいるという安心感のなかでのひとりは好きなんです。

 

そのくせ、私は寂しがり屋のなのになぜか人見知りなんです。

なかなか他の人とは時間をかけないと仲良くなれません。

 

しかし、孤独はいやなんです。

 

年々高まる生涯未婚率・離婚率や高齢化により、単身世帯が年々増加している

ようです。

 

男性の4人に1人の生涯未婚、3組に1組が離婚し、総人口に占める高齢者の割合も

30%に迫る勢いです。

 

ちなみに今日は敬老の日です、お年寄りの方の長寿のお祝いと、いつまでも健康で

あることをお祈りします。

 

2040年には40%に達すると予想される単身世帯率は私のような寂しがり屋には

とてもつらい世の中になりそうですね。

 

私はどうやって寂しさから逃れたらいいのでしょうか。

 

私は、妻が私より1秒でもいいから長生きをすることをこころより願っています。