介護職さんがブログを書いたら

 ここは老人ホームです。

介護の仕事は大変です。でも皆さん、お年寄りのために献身的にお仕事されています。

私は世のなかに役に立つ素晴らしいお仕事だと思います。

 

今回は、こころの優しい新人の介護職さんがブログを書いています。

 

おばあさん、こんにちは、今日からここで暮らしましょう、家族と離れて

寂しい気持ちはわかります、初めての食事、全然箸が進みませんね。

心配です、少しでもいいから食べてくださいね、涙でご飯がしょっぱくなる前に。

 

おじいさん、急に立ち上がってどこへ行くのですか、あなたが急いで躓いたら

骨折するかもしれません、そして寝たきりになったら私は悲しくてやり切れません。

自分で歩きたい気持ちはわかりますが、じっとしていてね、私と一緒に歩きましょう。

 

おばあさん、家にいたときのように、お風呂は夜入りたいのでしょうね。

でも私たちも人間、夜には家族と一緒にご飯を食べたいの、ごめんなさい、

お昼には職員もたくさんいるから心を込めてきれいに洗ってあげるからね。

 

おじいさん、家に帰りたいのですか、いつも私たちの隙を狙って、逃げようとして

いますね、そんなにここの暮らしがいやなんですか。

でも、お家に帰っても、誰も喜びませんよ、かえって、家族の悲しさが増すだけ。

気持ちを切り替えて、ここでの生活を楽しみましょうね、私は精一杯お世話します。

 

おばあさん、あなたの気持ちはよくわかりますよ。あなたのお世話をする家族の

苦労を考えて、辛い気持ちを抑え、自らここに来ることを決断したことを。

ここの生活が、家にいる時以上に楽しめるように、私はお手伝いしますね。

 

おじいさん、あなたが昔多くの大工を指導していた頭領だと言うのは知っていますよ。

でもね、ここに暮らす人はみんな同じ立場ですよ。人に指図はしないでくださいね。

みんなが怖くて嫌がっていますよ。

あなたが周りの人を愛せば、必ずみんながあなたを愛してくれますよ。

 

おばあさん、いつもあなたと仲良くしていたお友達が突然いなくなって心配

でしょうね。

心配しないでください。彼女は自由で幸せな世界へ羽ばたいていったんですよ。

 

おじいさん、あなたはいつもポツンとひとりで寂しそうですね。

集団生活はいやなのですか。だれともおしゃべりしないと辛いでしょう。

私でよければなんでもいいから話してください。

こころの扉はいつでも開いてあなたを待っています。

 

 おばあさん、あなたはブログを書いているんですってね、どんなことを書いている

のでしょうね。

いいことですね、認知症の予防にもなるし、こころが生き生きしていますよ。

でも、お願いです、私の悪口を世界中に伝えないでくださいね。

 

おじいさん、私があなたをお部屋のベッドまで連れて行くとき、感謝の気持ちと

言っていつもお菓子を分けてくれるけど、心配しなくいいのよ、あなたの愛で

私のお腹はいっぱいです。

 

 

 

介護歴10年のベテラン介護士さんに聞かれました。

 

なぜあなたはそんなにお年寄りに好かれているのですか。

介護の仕事を始めて1年にもならないし技術も経験も少ないのに。

 

 私は答えました。

私には介護の知識も技術もほとんどありません、でも、人を愛する気持ちは

あなたと同じです。

 

私はブログを読むのが大好きです。

その中に、介護士さんの書いたブログがありました。

 

お年寄りの書いたブログを読んでみなさい、その気持ちがわかるから。

もし介護で迷ったら、その時はあなたの両親を想う気持ちで介護すればきっと

喜ばれると書いてありました。

 

私は教えられました、介護というものは、知識や技術だけではだめだと。

介護には一番大切なのは愛。

 

私は人を愛する気持ちが、介護の基本中の基本だと言うことがよくわかりました。

愛があれば、介護の技術も知識も少なくてもお年寄りに喜ばれるんです。

 

ブログは生きたこころの辞書だと思います。

人の気持ちがぎっしり詰まった宝物かもしれません。