こころのコントロール
私は部屋に一人でいる時や、一人で車を運転している時、
考え事をしているとなぜか過去の恥ずかしいことを思い出して
こころのなかから声が漏れてしまうことがよくあります。
周りに誰もいないときは大きな声で「あ~」と叫んでしまいます。
人が聞いたらどんなに感じるでしょうか、気が狂ったのかと思うかもしれません。
私の人生、失敗だらけ、山ほど恥ずかしい思いをしてきました。
例えば、若い頃、友人の結婚式に招かれた時、進行係の人が私に歌を歌って
くれと歌詞の本を渡してくれました。
私はあまり歌を歌わないので、知っている曲があまりありません。
やっと一曲、歌える歌を見つけました。
進行係の人に伝えたところ、この曲で本当にいいのかと言われ、
これしか歌えないと言いました。
私は歌が下手なのでこころを込めて歌うしかありません。
やがて順番がきて私はマイクをもって歌いました。
歌い終えても拍手は全くありません。
それどころか会場はしらけた雰囲気です。
私が歌った曲は「別れても好きな人」。
結婚という人生の門出を祝うのに最も選んではいけない曲を熱唱してしまいました。
別れがテーマの曲を歌ってしまい、周りの出席者のひんしゅくを買いました。
今思えば顔から火が出るような恥ずかしさです。
そのほかにも数えきれないほど失敗はあります。
そばに誰もいないと思って「あ~」叫んだところ、妻が近くにいて
今の大声は何かと心配してくることもあります。
その時は声を出してあくびをしたのだとごまかします。
顔で笑ってこころで泣くとか、怒りを顔に出さないとか、悲しみを隠すとか
感情を押し殺すことができる人もいます。
私は不器用なのか感情をこころのなかでコントロールするのが苦手です。
私が恥ずかしい思いをしたとき、いつも人から顔が真っ赤になっていると言われます。
また、楽しいことがあった時、いつも笑顔が漏れ、隠しても、何が楽しいのかと
ばれてしまいます。
ずいぶん前のことですが
私の父が病気で倒れ、危篤状態になった時、そばで看護していた看護師さんに
父は助からないのでしょうかと聞くと実に神妙な顔をして悲しそうに頷きました。
私の絶望的な気持ちに共感してくれたのでしょう、とてもやさしい人だと思いました。
しばらくして、私はトイレに行きたくなり、ナースステーションの前を通りました。
休憩に入ったのでしょうか、さっきの看護師さんが同僚と楽しそうに
何か話しながらすれ違いました。
話に夢中で私には気づきませんでした。
話の内容は彼氏とデートした時のことのようです。
30分前の病室での看護師さんとは別人のように見えます。
深くこころが沈んでいた時に、彼女の豹変ぶりはとても印象的でした。
こころのコントロールが上手ですね、私も真似がしたいです。
感情をこころの中でコントロールできない私は、これからも苦い思い出を
思い起こすたびに、「あ~」と叫び続けるのでしょうね。
私のほかにもこんな人いるのでしょうか。