最後のこころの繋がり
昨年のことですが、私の妹の主人である妹婿に、癌が再発しました。
長い間の闘病生活でしたが、先日、病院の手厚い治療にもかかわらず
天国へと旅立ちました。
妹家族とは家族ぐるみの付き合いで、盆正月だけでなく、住んでいるところが
近かったので、子供が小さい頃はキャンプや海水浴などよく一緒したものです。
そんな彼を悲しく思い、何度も病院にお見舞いに行きました。
最初の頃はまだ元気で普通になんでも話をすることができました。
やがて、お見舞いに行く度に体力がなくなり、横になったままで、話をするのも
苦しそうです。
仕事が忙しかったせいもあり、しばらく、お見舞いを遠慮していました。
そんなある日、妹から電話。主人が危篤、すぐに来てくれという。
急いで病院に到着して、彼の病室に入り、ベッドに横たわる彼を見ました。
その瞬間、驚きのあまり後ろへ一歩後ずさり、これが本当にあの妹婿なのかと
目を疑いました。
激やせで、まさに別人です。頭には全く髪の毛はなく、血の気もなく、
顔もやつれ、目玉は2倍に膨れ上がり飛び出しているように見えます。
本当に妹婿なのか疑心暗鬼で恐る恐る耳元で彼の名前を呼びました。
すると、なんとか聞こえたようで、軽くうなずいてくれました。
私は思わず両手で彼の手をかたく、かたく握りしめました。
すると彼の目から涙がひとしずく、以前の面影は全くないのですが、
こころは通じました。
私もつられて涙が出ました、別れの寂しさの共感です。
神よ、あなたは情けというものを持っていないのですか、彼をこんな変わり果てた
姿にして平気なのですかと心で叫びました。
彼とこころが繋がったのはそれが最後でした。
その時、彼が元気なら、「これから行く世界は見たことはないけれど、
そこにはこころときめくブログのような世界があり、溢れんばかりの
愛と感動できっと私をやさしく迎えてくれるでしょう。」
そんなことを私に伝えたかったに違いないと思います。