世界で一番必要な人
母
いつも面倒かけてすまないね。
自分のことは自分でしたい、本当に。
だけど私は年老いて、体が自由に動かせない。
ご飯を食べることも、トイレに行くことも何もかも。
もう何年もベッドと車いすの生活。
面倒かけて本当に申し訳ない。
あなたは私のために正社員の職も捨てたのね。
苦しいでしょう、せめて私の年金を生活の足しにしてね。
もう、感動もなく、生きる喜びさえ忘れてしまいました。
私は何もできない、役にも立たない、ただ生きているだけ。
私は世の中に必要とされていないでしょうね。
あなたも自由がほしいでしょう。
私を老人ホームに入れて思う存分生きてほしい。
息子
あなたは女手一つで僕を育ててくれた大切な人。
僕はあなたの苦労をよく知っている。
感謝しても感謝しても感謝しきれません。
僕はあなたの溢れんばかりの愛情で大切に育てられました。
そんなあなたを見捨てられません。
僕はあなたがそばにいて毎日顔を合わすのが最高の喜び。
僕にとってあなたは世界で一番必要な人。
あなたへの恩返し、返しても、返しても、返しきれません。